Thought beyond time 09.2
早速邪魔よけを解いてもらうと、タイミングを見計らっ
たかの様にコンパートメントが開かれた。
「えっと……此処開いてるかな?」
ハリーだ。
は慌てて居住まいを正すと、どうぞと前の席
を進めた。
「あれ?」
ハリーがはっとした様に声を洩らした。
とたんに何かを思い出したようで、一瞬顔を顰めて慌て
て首を左右に振って表情を切り替える。
「そうだ、マダムマルキンの洋装店であったよね」
「うん、そう言えば自己紹介してなかったね。私は、
・」
「僕はハリー・ポッター、よろしく」
お互いに手を取って握手すると、ようやく落ち着いて座
席に着いた。
窓の外には、ガヤガヤと別れを惜しむ親子が溢れている。
その中に、赤毛の一段がこの窓から良く見えた。
ハリーも同じように外を見ていた様で、チラリと目が合
い、何だか可笑しくて笑が零れた。
「本当、夢みたいだ」
「うん、私も」
「あれ、は此処の出身じゃないの?」
この間のドラコとの会話を聞いていたハリーにしたら、
当たり前な疑問だった。
この間の印象だと、ドラコは非魔法族をあまり良く思っ
ている感じでは無かったし、知り合いの様だった
は魔法族だと思ったのだ。
「ううん、私は魔法族じゃないよ。色々な事情もあって
魔法界について知ってただけなの」
「そうなんだ」
「だから、私今凄く楽しみなんだ」
「うん僕も」
満面の笑みを浮かべると、は大きく伸びをし
て背もたれに寄りかかる。
「それに、またハリーと会えて嬉しいしね」
+++++
そんな事を話していると、ホグワーツ特急は走り出して
いた様で、窓の外がゆっくりと景色を変えていく。
次第にそれが早くなっていき、小さな家々が見え始めた。
ちょうどそんな時、コンパートメントのドアが開き、赤
毛のヒョロリとした少年が顔を覗かせた。
「此処開いてる?」
「他は何処もいっぱいなんだ」
「うん、どうぞ」
が手で示し、ハリーはコクリと頷いて見せた。
すると、その子はだまってハリーの隣へと座ると黙り込んだ。
コンパートメントに少しの間静かな空気が流れていく。
はロンの事はもちろん知っていたが、こんな
雰囲気では中々口を開けなかった。
「おい、ロン」
あの双子だ!
はバクバク言う心臓に慌てて平静を装うと、
あさっての方向へと視線を向けた。
「なあ、俺たち、真ん中の車両あたりまで行くぜ……
リー・ジョーダンがでっかいタランチュラを持っている
んだ」
「わかった」
ロンの返事がかろうじての耳元に聞こえてきた。
「ハリー」
ジョージかフレッドがハリーに声を掛ける。
「自己紹介したっけ?フレッドどジョージ・ウィーズリ
ーだ。こいつは弟のロン」
「おっと」
「姫じゃないか!」
2人は変わりばんこに声を掛けていく。
まるで用意したセリフみたいだ。
なんて、は内心ニヤニヤ笑いを浮かべた。
「えっと……久しぶり?」
「「本当に、我ら姫と再び出会うのを心待ちにしておりまし
たものをっ!」」
2人が声をそろえて芝居がかったポーズを取る。
「ふふふ、本当2人って楽しいな!流石悪戯仕掛け人ね」
「なんと!」
「我々も有名になった物ですな」
フレッドとジョージは手を取り合うとその場でクルリと
回ってヒシっと抱きしめあった。
「此れも日ごろの成果!」
「ますます励まねば!!」
「「例えばスネイプの髪をピンクに染め上げるとか!」」
ニヤリ
そんな効果音が付きそうな笑みを浮かべ、何やら変な液
体をポケットから取り出して見せた。
その液体は、明らかに怪しげな色を放ち、変な臭いを微
かに撒き散らしている。
「えっと……やめといた方が」
ボソリと呟いたが、の言葉など聞こえていなかったみた
いたで、楽しげに笑っている。
ピンクのスネイプ、的には阻止したい物である。
「それじゃ、今度こそ行くよ」
と、思い出したように2人が外へと歩を進める。
「じゃあまた後で!」
「バイバイ」
ハリーとロンが其れに応える。
ハリーの声にあわせても慌てて手を振った。
「またねっ!」
フレッドと、ジョージは手を振ってコンパートメントの
戸を閉めると、段々と喧騒が遠くなっていく。
まるで嵐の様なコンビだ。
何だか気が抜けたみたいで、はとたんに眠気
に襲われた。
瞼が重くて、錘付きの様だ。
「ねぇ、君ってあの時の?ほら、母さんが君を押しつぶそ
うとした時に僕居たんだ」
「えっ?! 君も知り合いなの?」
「多分ね」
前の席では2人が何か話しているっぽかったが、眠気に
は勝てず、ゆるゆると瞼が下りようとする。
((……仕方が無いな))
サラザールの呟きを聞きながら、ゆっくりと背もたれに
寄りかかり、気がつけば夢の中。
スースーと寝息をたて始めた。
〜〜〜〜〜お詫び〜〜〜〜〜
この話は、最初3/15日にupした物なのですが、主人公最初に双子にあった
にも関わらず、まるで初めての様に書いてしまいました。
かなり不自然だったと思います。
拍手のコメントでご質問頂き気づき、慌てて修正し3/21再upとなりました。
コメントを頂いた方の他にも可笑しいとお気づきになった方も居ると思います。
阿呆な管理人ではありますが、これからもお付き合い願えると嬉しいです。
