Thought beyond time 03.








案内された部屋は、シンプルながらも、質の良さそう
な調度品でまとめられた部屋だった。

「ここは自室として使うといい」



それだけ言うと、ルシウスはローブをはためかせて去
って行く。


流行なのだろうかコレ。


それともスリザリンでは、必須なのだろうか。



こんな事を考えていたら、随分意識もはっきりしてき
た。



なんとなく指輪を手でなぞる。

そうしなければならない様な、そんな気がしたのだ。


「・・・っ!!!」



触れた瞬間、急に力が抜け、その場に膝を突いて倒れ
こんでしまう。



何だろうか、どんどん力が抜けていく。



意識まで、ボーっとしてきた。



考える事もめんどくさくなる。


「・・っ!離せ!!!」


誰かの声がして指輪から手が引き剥がされる。
視界がぼやけていて、には誰だか見ることが
出来ない。
すごくもどかしくて、手を伸ばすけれど、それは届く
前に止められてしまった。



「触れるな」



その一言はね拒絶なのに、言っている本人が傷ついて
いるようで、はそっと手を伸ばす。




「・・・・っ」




「あなたは、この間の人?」





もうだめだ。


眠い。


でも確かめたい。

一生懸命に開いた目に写ったのは、銀の髪に赤い目の
男。


何故か懐かしい。
不思議な感覚。



「ここに居て、・・・・聞きたい事があるの」




眠気に抗いながら、はなお手をのばそうと
する。

「わかった。わかったから、今は抗うな」



その言葉を聞いたは、ほっと抗うのをやめた。


そっと、目元に手がかざされる。


あたたかいその手。
すぐにやってきた睡魔はあっと言うまにを連
れ去っていった。







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