Thought beyond time 06








もちろん。
ドラコ達との食事も、帰ってきてからのダンブルドア
との会話も楽しかった。
けれどずっと指輪の存在が気になって仕方が無かっ
た。



+++




その夜、は自室に帰ると直ぐに指輪に呼びか
けた。



「サラザール?」







「何だ?」



現れたサラザールは、近くの椅子に座ると足を組んで
を見上げていた。
まるで最初から其処に居たような、そんな雰囲気だ。



いざ話せるとは何だか緊張してきた。


「続きが聞きたいの」

声が固いのが自分でも分かるぐらいだ。




「何を聞きたいんだ」

サラザールのゆっくりと足を組みかえるしぐさに、鼻
血の心配をしつつ、は口を開く。
一瞬緊張も吹き飛んで行った。



「何でこの指輪に?それに、何で私がこの腕輪と指輪
を私がつけていたの?」


「指輪に居る理由はまだ詳しく言う事は出来ない・・・
私がホグワーツから出た原因でもある」



「・・・・」

サラザールの目がじっとを見ている。

「お前がその指輪と腕輪を所持していた理由は、お前
がこの世界に来た事と私の存在が関係している」





「今は話せないって事か・・・」


「・・・そうだ」



そう言ったサラザールの顔は、あんまりにも顔色が無
くなっていて聞いちゃいけないそう感じた。
は口をピッタリと閉ざして、考えた。



ヒントは今のサラザールの言葉。いつかは教えてくれる、
そう言ってるのだし、その時まで自分で考えて待
つのも良いかも知れない。
直ぐに人に答えを求めるのは駄目だってどっかで誰か
が言っていたし、きっと今は聞かない方が良いのだ。


何て考えている内に、はもう1つの疑問が
浮かんできた。


「この指輪と腕輪は2つで1つなの?」


「そうだ、指輪が私の居る場所だとしたら、腕輪はそ
れを制御する物になっている」



「ふ〜ん・・・」



腕を持ち上げて照明に照らすと、キラキラと光が反射
して見える。
はめ込まれた赤い石が凄く綺麗だ。


「話てくれてありがとう」


腕から目を離して、サラザールの方を向く。


目が合ったサラザールは何か考えるように自分を見て
いる。


それが凄く気になって口を開こうとすると、タイミン
グ良く遮られた。

「話などで礼を言われる程の事では無い。しかし、も
う寝た方が良いと思うぞ」



そう言われてみれば、何だか凄く眠たくなって来る。
今日は色々あったのだし、疲れているのは確かだ。



素直に頷くと、はベットの方へと歩いていく。
足取りは既に寝ぼけた人の様になっている。

「おやすみなさい」



「おやすみ



(明日はもっと話せるといいのにな・・・)






布団を被るとの意識は直ぐに闇の中へと落ち
て行った。







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