Thought beyond time 07.2
歌の事件から一夜明け。
今日はいよいよ杖選びの日になった。
昨日の浮かれた歌も今日が楽しみだったせいだ。
ダンブルドアが寂しそうにこっちを見ている。
まるであのCMのチワワの様で、は一瞬言葉
をつまらせる。
「行きたかったのぅ・・・」
「でもドラコ達も今日だし・・・」
そんな寂しそうにされると困ってしまう。
だって今日は買い物デー!日和。
ハリーも買い物、ドラコも買い物、今日行かなくてい
ったい何時行けと言うのか。
「お土産も買ってくるし、ねっ?」
「今度買い物に行くときは絶対に一緒じゃ」
そう言ったダンブルドアに見送られ、は意気
揚々と暖炉の中へと飛び込んだ。
「漏れ鍋っ!」
+++++++
朝の眩しい光と人のざわめきがなんとも清々しい。
は大きく深呼吸するとポリポリと頭を掻いて
辺りを見渡した。
道の端によって眺める景色も此処では凄く楽しい。
でも
でも
迷子で無いならの話だ。
「・・・・どうしよう」
まさか着いて早々迷うとは・・・。
自分の馬鹿さにはもう呆れるの一言だ、はガ
ックリと肩を落として項垂れた。
(まったく、ボーっと店など見ているからだ)
サラザールは呆れたように溜め息をこぼすと
(案内しよう、回っていれば何処かで会いたいものとも会えるだろう)
にとって願ってもない申し出をしてくれたの
だった。
「よろしく、サラ」
は満面の笑みを浮べるとふと気がついた事に
首を傾げた。
サラザールは今の町並みは知っているのだろうか?
(大丈夫だ、少なくともよりはな)
の思考はバレバレで、聞く前に答えられてし
まう。
顔にでも出ているのかとと顔を撫でていると一言。
(馬鹿な事してないで行くぞ)
また溜め息を吐かれてしまった。
「うぅ、まずは杖が良い」
照れつつもしっかり主張するに、サラザールは実体化してたらニヤリと笑っているだろう声音で
(わかってる、昨日からうるさかったからな)
「今度から歌には気をつけるからっ!」
はその場で地団駄を踏むと、早くとサラザー
ルを急かした。
それにやれやれといった感じでサラザールが答える。
(出来るのか?まあいいが、取り敢えずはこのまままっすぐだ)
「OK」
(焦って人にぶつからん様にな)
「わかっている!!」
はうきうきとした足取りで、人の流れへと入
っていった。
