Thought beyond time 08








オリバンダーの杖の店には、なんとかサラザールの案
内のおかげでたどり着いた。

店の中は思ったよりもスッキリとしていて
オリバンダーの店へ入ると、店の奥からカタンと音が
1つ聞こえてきた。

「すみません!」


もう1つカタンと音がしたかと思うと、店の暗がりか
ら1人の老人が現れた。

「・・・っ!」


びっくりして足を引くと、小さく苦笑されてしまう。



「嫌々、すみませんさん。ダンブルドアが
言っていた通りのお方のようですね」



いったい何て言ったんだ!
が憮然としていると、オリバンダーは苦笑し
て右の方の棚の上へと登ると幾つかの杖を持って降り
てくる。


「可愛いんですよきっと、孫ができたみたいで」


「そうですかね?」



「そうですよ。では、杖腕を出して下さい」


いつまでもむくれていても仕方が無い。
気分を取り直して杖腕を出すと、不思議なメジャーに
色々な長さを測られていく。



「えっと・・・此処もですか?」


目の幅なんているのか?と思っていると、オリバンダーがメジャーを呼び戻す。

「失礼。ちょっと好奇心が旺盛なメジャーでな」


素直に帰って来たメジャーを引き出しにしまうと、
オリバンダーは一本目の杖を取り出した。



「樫の木にペガサスの鬣23センチ、良くしなる」


受け取って一振り。


ドガッ

その辺りの箱が全て落っこちてくる。


「いかんいかん」


の手からあっと言う間に杖をもぎ取ると、オ
リバンダーは次ぎの杖を取り出した。



++++++



この杖で何本目になるのだろうか。
はウンザリして杖を受け取ろうとすると、
またも握る前に取り上げられる。

「嫌しかし・・・・・」

オリバンダーは何か悩んで居る様で、店の中を何度も
言ったり来たりを繰り返すと、ジーッと店の奥へと視
線を向けた。
先ほど音が鳴っていた方向だ。


「だが・・・・・」


そう言ったあと、オリバンダーは慌てたように店の奥
へと歩いていくと、直ぐにの元へと、古ぼけ
た箱を持って帰って来た。


「此れを・・・・」


神妙な面持ちで差し出された杖をみぎった瞬間。

此れだ!

がそう感じた瞬間、杖の先から光が溢れ、
キラキラと光が霧散したかと思うと、ぶわぁっと何か
が頭の中を駆け抜けていく。


「・・・?」


それと同時にこの杖の入れ物がピカピカの箱へと変化
を遂げていた。


「ブラボー!!!」


オリバンダーが跳ねんばかりの勢いで拍手喝さいして
くれ、何だか照れてしまう。


「ありがとう」


「こちらこそ、感謝しているよ!私の代でこの杖の持
ち主が現れるなんて、思っても見なかった」


「そんなに凄い杖なんですか?」


オリバンダーの興奮した様子は凄くて、そんなに驚き
喜んでいる理由が凄く気になった。


「もちろんですよ、少なくとも私にとっては。此れは
ある人の杖だったものです。その人はホグワーツ開校
に携わっていた人で、その人が亡くなった後この店へ
と持ち込まれて以来、ずっと此処に在ったんですよ。
此処に此れを持ち込んだのも創設者の方々の内の1人
だと聞いています」

それが誰なのかは分からないのですがね、そう言って
まだ興奮気味なオリバンダーはこう続けた。


「それに!この杖の材料は大変珍しい物で、麒麟の
鬣を杖芯に、イチイの木を使った杖です」

「麒麟!本当に居るんだ!!」

違う方向へ驚きを示した事に苦笑すると、オリバン
ダーは杖をから受け取り、綺麗に変化した
箱へとしまいなおしてへと渡した。


「お代はいりません」


「えっ!そんなわけにもいかないですよ!」


「ですが、此れは預かっていただけですから」


「でもっ!」


「いいんですよ」


「・・・・・・ありがとうございます!」


暫く押し問答を繰り返していたけれど、折れたのは
だった。

「でも、今度何かお礼を持って来ます!これは譲れません!!」

「強情なお方だ」

オリバンダーは苦笑しつつも承諾してくれる。

「では、また来ますね」

そう言ってペコっと頭を下げると、はオリバ
ンダーの店を出て次の店へと向かった。。







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