Thought beyond time 08.3
そうが応えれば、ドラコは機嫌を降下させた
様で眉間に皺を寄せた。
それを見てが思ったのは、そのまま行くとセ
ブルスの眉間とお揃いだなぁなんて、少し不謹慎な事だ
ったが。
「スリザリンが一番だね」
一応そう付け足しておく。
本心である。
「もちろんだとも」
ドラコの勢いが復活し、嬉々として窓の外の大男の方へ
と顎をしゃくる。
一方ハリーは、戸惑いがちに外へと視線を向けた。
も其れを追う様に視線を向ける。
「ほら、あの男を見てごらん!」
ハグリッドであろうその人はニコニコとつぶらな瞳を笑
みの形にして手を振っている。
手には2つのアイスが握られている。
「あれ、ハグリッドだよ」
ハリーは弾んだ声で答えた。
「ホグワーツで働いているんだ」
「ああ、聞いた事がある。一種の召使だろう?」
「熊さんみたいで素敵だよね」
傍観していただが、ハリーのドラコに対する
心象がこれ以上悪くなる前に、慌てて遮った。
まぁ此処で遮っても無駄な気はするけれど。
「?」
ドラコが訝しげに見つめてくる。
「ねっ、熊さんに見えてこない?つぶらな瞳が特にそう
見えてくるの」
ハリーも目を真ん丸くしてを見ている。
まさか熊さん発言が飛び出すなんて思わなかったんだろう。
「はぁ……」
ドラコは諦めて溜め息を吐いた。
「そうだね、彼って最高だと思うよ」
ハリーが満面の笑顔で笑うのを見て、も笑顔
で頷く。
ハリーの機嫌も少しは直ったようで、険悪な雰囲気は少
し和らいだみたいだ。
「へぇ?」
ドラコの方はそうも行かない様だけど。
「どうして君と一緒なの?君の両親はどうしたの?」
少々無神経にも取れる質問に、ハリーは再び表情を険し
くさせた。
「死んだよ」
「おや、ごめんなさい」
「ドラコ!えっと……ドラコも悪気があるわけじゃ」
何だか今日は損な役回りだ。
は小さく息を吐く。
「でも、君の両親も僕らと同族なのだろう?」
「魔法使いと魔女だよ。そう言う意味で聞いてるなら」
ハリーの声は今や冷たいブリザードの様になって来てい
る。
「ドラコっ!」
実力行使だ。
言っても止まらないなら仕方が無い。
ぐいっと袖を引っ張って、注意をの方へ向け
させる。
「、さっきからどうしたんだ?」
どうしよう。
この人無意識でハリーに突っかかってる?
は一瞬固まってしまう。
ドラコはハリーを、一瞬で永のライバルとでも感じ取っ
たのだろうか?
それとも性格?
絶対態とだと思っていたのに。
「さぁ終わりましたよ。坊ちゃん」
がドラコを止めている間に、採寸が終わった
らしいハリーが、ポンっと台の上から飛び降りた。
「…じゃ、ホグワーツでまた会おう。たぶんね」
に何か言いかけたのを止めると、ドラコがハ
リーに声を掛ける。
もちろんも手を振っておく。
「またねっ!」
ハリーが店から出て行くと、ドラコがへと向
き直る。
「、君って本当変わってるよ」
苦笑まじりに言われれ、少し呆気にとられた。
はドラコがもっと怒ると思っていたのだから
そうなるのも仕方が無い。
「そうかな?」
ちょっと嬉しい気分で笑いかけると、丁度マダムから
採寸終了を告げられる。
ドラコは何故かまだ終わらないらしい。
特注だろうか?
「またねドラコ」
小さく手を振ってドアの方へと掛けて行く。
「ああ、またな」
振り返ればドラコも手を振っていて、思わずにやけると
大急ぎで店の外へと飛び出した。
