Across space-time and 10
目覚ましをかける事も無く、はすっきりと目
を覚ました。
窓からの日差しは、とっても暖かくていつまでも寝てい
たいが、そうもいかないのだ。
勢いをつけて布団を跳ね上げると、ベットから立ち上が
った。
+++++
「フッフ〜ン〜〜フッフッフフ〜ン」
鼻歌を歌いながら、庭に咲いた花を摘んでいく。
実はこの花、朝の三十分しか咲かないかなり珍しい薬草
なのだ。
昨日たまたま見つけた文献で、書かれていた内容によれ
ば……。
朝露の時間に咲く花のみを摘み、朝露で煮立てる。
十分に煮込んだ其処に、この花の若葉を加え、再び煮込
む……そして出来上がった薬は、美容、健康にかなり効
果のある最高の薬になるらしい。
がっ!
一度其処に唯の水を加えると、飲んだ物のその時の願いを
知る薬になる。
文献にはそう記されていた。
まあ、真実薬では無いから強制力は無く、今はカレーが
食べたいとか、知られても良いと本人が思っている事の
みしか効果は無いらしいのだが……。
此れはかなり高く薬屋に売れるらしい。
早速作って売りに行こう!
なんて考えながら、必要な量を摘み取っていく。
「リオ、このお花を実験室に持って行ってもらっても
良い?」
隣でパタパタと耳を揺らしているリオにお願いをする
と、杖を振って朝露を持ってきた入れ物に集め、急い
で実験室へと駆け出した。
+++++
「ふぅ……」
やっと出来上がった薬をグラスに注ぎ、その残りの半分
はビンに詰め、残りには少量の水を加える。
それもビンに詰めると、鍋に少し残った物を小さなグラ
スに入れておく。
「自分で飲んでみようかな?」
「良い考えでごじゃります!」
リオがクルクル回ってジャンプしている。
それに合わせてカタカタと実験器具が音を発てた。
「そうかな?」
「はいっ」
「うふふふふ、じゃあ試そうか」
ビンは薬棚に保管して、グラスの方を手に持つ。
キレイな薄ピンク、桜色の液を見つめ……はっとして
顔を上げる。
「ぁぁぁぁぁああああああああ朝ごはん!!」
忘れていた、もう時間は7時になる。
もう少ししたら、リドルも目を覚ましてくる時間だ。
それまでに朝ごはんを作ってしまわないと!
別にリドルは何も言わないかもしれないが、これだけ
は譲れない。あったかご飯でリドルを起こすのだ。
「全然ご飯作ってない」
手に持った二つのグラスもそのままに、急いで駆け出した。
「待ってくだされ!!」
パタパタと歩くリオを後ろに従えて、急いでキッチンへ
向かっていく。
「早く!リオ」
今日の朝ごはんはハムのオムレツだ!!
