Across space-time and 03
次ぎの朝、早くから起きて出かける準備を始める。
まずは、縮んだ年齢を大人の姿になるように魔法をか
け。この家で発見した服の中から、この時代に合った
服装を選んだ。
「んー・・・・」
まだ少し眠くて欠伸がこぼれるが、それも仕方が無い。
昨日の夜は色々考えていて睡眠時間がかなり削られた
のだ。
養子を引き取るために孤児院の先生を説得させなくて
は。この問題が一番なやんだ。
とりあえず思いついたのは
取りあえず、未亡人が一人寂しくて養子を引き取る。
それか、子供が欲しい夫婦の片割れを演じる。
もしくは、親戚を装い引き取る。
この3つ。
はこの中のどれかで説得するつもりでいる。
シャキっとするため、冷たい水を浸したタオルで目
元を擦り、昨夜の内に考えた事を脳内でまとめる。
作戦は親戚を装う事。
これが一番失敗が無く、その他2つよりは余程ましだ
った。
遠い親戚で、最近知って探し当てた事にしたこの作
戦。臨機応変に会話を進めればなんとかなると思う。
と言うか、何とかするのだ。
自分のためにも!!!!
こんな性格だし、八方美人と言われるこの性格で何と
かごまかすつもりだ。
「さぁ!出陣よ!!」
気合を入れてドアから一歩を踏み出した。
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忘れていた。
は重度の方向音痴だったのだ・・・・。
「もー!何で着かないのーーーー」
空のお日様は既に傾き始め、お昼も過ぎていた。
今日中に着ければいいなぁ。なんて考えを頭の隅に追
いやった。目標は高く!
日が沈む前には着きたいものである。
暫く歩いていると、銀色の髪をした紳士が前方から歩
いて来た。
この通り、人がなかなか通らない。
これを逃したらまた暫く人が来ないのだ。チャンス
だ!このチャンスは逃せない!!!!
「あの!すみません」
その人の進行を遮る形で前に飛び出す。
立ち止まった男性は冷ややかな目でを見下ろ
して来た。迷惑だと体中から空気があふれ出している。
むしろ、嫌悪かも知れない。
「・・・・・」
「すみません。・・・・孤児院への道はここの道で」
「真っ直ぐだ」
に最後まで言わせず、遮るように呟く。
深い、渋みのある声の男だ。
まるで、の存在が無いかの様に目も合わせ
ず。男はそれだけ言うと、何も無かったかのようにさ
っさと歩いて行ってしまった。
「・・・・・何だろ今の人・・・・・」
親切なのだか、不親切なのだか謎な男だ。
は暫くの間その場で男の後ろ姿を呆然と眺め
続けていた。
