Across space-time and 04








リドルの部屋へと向かう途中にも、子供達が元気に遊
ぶ声が聞こえてくる。



暫く廊下を進むと、院長は1つの部屋の前で立ち止ま
った。


「ここが彼の部屋です」


院長が軽くドアをノックすると、中から声が帰ってく
る。

「入りますよ」



院長がドアを開ける瞬間が、には嫌に長く感
じた。
段々と開くドアの隙間からまず部屋が見え、次ぎに少
年の後ろ姿が目に入ったる。

机に向かって本を読んでいる。
本から目をあげ此方に顔を向けた赤い2つの目。

何の用だと全身が拒絶した様な雰囲気をまったく隠そ
うともしない。


「トム。面会の方だそうです」


「はじめまして私は。宜しく」


自分の中でも一番だと思う笑顔で笑いかけたける


そんなに心配そうに顔を向けると、院長は

「折角です。2人の方が良いでしょう、私は事務室
の方でまっていますね」

そういって部屋を出て行く。

そんな2人のやり取りも気にするでも無く、黙ってい
たリドルの目は既に本へと戻っていた。


「何のよう?また僕の力に何かいいに来た人?」

そっけない。
それで居て不機嫌なのが良く分かる声でそう言うと、
思いっきり睨み付けて来た。
の目をじーっと見てくる。



「いいえ。貴方と暮らしたいと思って此処に来たの」



「・・・・・?」


「だから、貴方と一緒にね」

怪訝な顔をするリドルに一歩近づくともう一度。

「暮らしたいの一緒に」



「何をたくらんで?ここの奴らに依頼でもされたか?」



「違う、自分の意思」


睨む目を逸らさず、はっきりと言う。
はここで怯んだら負けな気がしたのだ。



「まったく、次から次へと奴らも考えるよね」



バカにした様な笑みに声をへと投げつける
て来る。
それでもは違うと否定してリドルの前まで
来てしゃがみこむ。


「一応、私は此処の人達には親戚って言ってる。
でも、貴方の親戚を知ってるけど、私は貴方の親戚
じゃ無いの。私が貴方と暮らしたいって思っただけ。
それだけじゃ駄目?証拠はないけど・・・」








「・・・・ふ〜ん」


返事はそれだけだけど、は今はそれだけでも
良いかなと思った。

急に知らない人間を信じるなんて、めったに無い事
だ。持久戦は覚悟しなければならない。
は、自分の認識がかなり甘かったと痛感
していた。




「今すぐに信じなくてもいいけど。又明日来るね」




(今日連れて行くのは無理だよなぁ・・・・・。)

は落ち込んで何だか上手くいか無い。何て考
えながらドアノブに手を掛けた。


「また明日、リドル」















一方リドルは、その後ろ姿をじっと見つめていた。
何か考えているのか本は閉じられ、閉まったドアを
ジーッと見つめていた。
こんな変な出来事はこの孤児院に居て初めてだったか
ら内心驚いていたのだ。



でも、はもう来ないだろう。



そう思ってバカにしたような溜め息を吐いた。







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