Across space-time and 05








「連れて帰ります!!!」




そう言った瞬間のみんなの顔は同じ様に固まっていた。




++++++





「連れて帰る!?今日ですか?」


院長先生は顎をはずしそうな程に口を開いて固まって
いる。
振り返ってリドルを見てみれば、目を大きく開いて
じっとを見つめていた。



「はい。できれば今日連れて行きたいと考えています」


「そうですか・・・ではリドルは部屋で待っていて下
さい。さんはこちらに」


院長がクルリと踵を返し前を歩き出し、は慌
ててその後を追って歩き出した。

少し行った後振り返ると、既にリドルの姿は無く、窓
の外に他の子供達の姿が見えただけだった。


さん」


院長が声に呼ばれ、は慌ててその後を追って
小走りに駆け寄っていく。




「すみません」


苦笑した院長がいいのですよと小さく首を振るとその
場に少し沈黙が落ちる。



「・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・」



「・・・さん、少しお話して置く事が有るん
です」


「なんですか?」


「リドルは・・・少し不思議な子で、気難しいんです」


「大丈夫、仲良くなって見せますよ!!」


さんは、お1人でリドルをお育てになるつもりですか?」

「ええ。でも手伝ってくれる子も居るので」


「それなら、まだ大丈夫でしょうか」

「何かあるんですか?」

院長先生はさっきからしきりに辺りをきにしている
様で、たどり着いた院長室のドアを開け、先に
を招き入れると本人も素早く滑り込んだ。




「少し落ち着いて聞いて欲しいんですが・・・」



「・・・わかりました」



2人が席に着くと院長は口を開いた。



「リドルは、少し他の子とは変わっているんです。
何か不思議なんですよ・・・」

「・・・」



「何か、人を操ったり物を操ったり・・・・超能力の
様な・・・・・」

院長は自分の発言を恥じる様に顔を赤くして俯いた。


一方スイはさっきから顔に笑顔が張り付きっぱなしに
なってる。


「大丈夫です!任せてください」



は院長の目を見て大きな身振りで頷いた。



「・・・・リドルも・・・あなたになら心を開くので
しょうか」


院長は少し目を伏せた後顔を上げると穏やかに微笑ん
だ。
先ほどよりは落ち着いた様だ。

「そうですね・・・・・では・・・この用紙への記入をお願い
します」



机の引き出しから1枚の黄ばんだ書類を取り出と、書き込む場所
を指で指し示す。


「此処と・・・此処ですね!」


そう言って渡された用紙を受け取ると、
嬉々として記入していった。






++++++


その頃のリドルは、部屋に帰り自分の机に向かうと
本を開き文字を目で追っていた。

でも、一向に頭の中に内容が入ってこない。



「・・・何なんだ?いったい」



右手で乱暴に髪を書き上げると、イライラと本を閉じ
机の上に放り投げた。







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