Across space-time and 05.








リドルは1人自室で溜め息をついた。




あれからどれくらいの時間がたったのかは解らないけ
ど、リドルはドアの外の様子が気になって、ちらちら
と視線を向けては急いで視線をそらす、と言う行動を
繰り返していた。








コンコン





ドアがノックされた瞬間、リドルは何事も無かったよ
うに椅子に座りなおし、返事をする。




「はい?」





「リドル入りますよ」



そう言って入ってきたのはあの女と、大きなかばんと
院長先生だった。




+++++



は、記入した用紙を指で撫でて確認すると、
院長先生へと手渡した。



「これで記入は終わったと思います」




「そうですね・・・」


ふんわりと微笑んで受け取った院長も、ひとつひとつ
を確認すると、ゆっくりとした動作で頷いた。



「此れで記入すべき事柄は全てですね」


そう言って立ち上がると、1冊のファイルを取り出すと
用紙をファイルの中に丁寧にしまい込んだ。


そのファイルを元の場所に直すと、院長がハッとした
様に振り向いた。



「カバンは持ってらっしゃいましたか?」



「あっ・・・・・・・・」





「あらあらあら。そうね・・・・私の物でよければ
お貸ししましょうか?」



院長先生がそう申し出てくれた事で、変な言い訳と呼
び出し呪文にチャレンジする。と言う難関に立ち向か
わずにすんだは、安堵の息をついた。



「ぜひ、後日お返しに来ますので・・・」


ペコリと日本風のお辞儀をする。

それを見た委員長は目を丸くするてを見て
いる。


「あっ、此れ日本風の感謝の印みたいな感じで」



「そうなの?そんなに畏まらなくても、カバンぐらい
幾つでも貸しますよ。」


楽しそうに笑う院長先生は、をその場に残す
と、カバンを取りに隣の部屋へと向かい、幾つかのカ
バンを持って帰って来た。



「この大きな物なんてどうかしら?」

不安げに訪ねて来る院長先生に、はブンブン
と首を左右に振ってから大きく頷いた。





「十分ですよ!!!ありがとうございます」


其処から一番大きなカバンを選び取ると、2人して満
足して頷きあう。





「では・・・リドルを迎えに行きましょうか」



「はい!」



裾を正してから歩き出した院長先生の後を、
はニヤケル顔を抑えながらも先ほどのカバンを抱え込
み、早足で着いていった。






昨日と同じ部屋の前までくると、院長先生が立ち止ま
り、一回の方へと視線を投げかけからそっと
ドアをノックする。






「リドル入りますよ」








部屋に入るとリドルはゆっくりと此方を見て2人を確
認して椅子の上から立ち上がり側へとやって来た。




「リドル・・・今日からこの方があなたの家族になる
のです」




「・・・・!?」



リドルの顔は驚きと、何か分からないけれど、少なく
とも嫌だと言う様な感情は見えなかった。

その反応に、嬉しさで余計にニヤケそうになる顔を引
き締めたは、リドルの目線にしゃがみ込むと
その思いも込め、ギュッとリドルを抱きしめた。



「今日からよろしくね、リドル」







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