Across space-time and 06.








さっきの子があわせたい子でこの家の子だと勘違いして
いたリドルは、突然の変化に自分の目を疑った。

さずがのリドルも子供なのだし驚きは隠せなかった。
なにせ自分以外の不思議な力だって初見なのだ。




・・・?」

困惑の色にそまった目でリドルが見上げてくる。


「そう

きっぱりと答える。と、パニックが落ち着いてきたのか
幾分か落ち着いた声で答えるリドルに、逆に
が驚かされた。


「何で・・・は本当はどっちの姿なの?」



この疑問はもっともだ。
は頷くとリドルと視線を合わせるためにしゃ
がむとニッカリと笑った。

「さっきの年齢じゃリドルを向かいには行けないでし
ょ?だから魔法でこの年齢になってたの」


「・・・まぁ、さっきの姿だと無理だろうね」

見た目だけは、完全に落ち着きを取り戻したリドルが
頷くのを見たは、直ぐに次の言葉を告げた。



「でも、さっきの年齢も誰かの魔法でなってしまっただ
けで、本当は二つの姿の間ぐらいの年齢なの。 詳しく
は自分でも良くわからないんだけどね」


がそう言ったあと、リドルは何かを考える
ように顔を下に向け暫く考え込んでいたが、リドルは
顔を上げるとじーっとを見つめてきた。




「・・・へぇ、じゃあ僕のあの力も魔法で説明がつくって
事なのか」






「どんな事ができるの?」

は知っていたけれどあえて知らないふりをし
て聞いてみた。




「・・・動物を操ったり、物を浮かせたり、それに・・・蛇と
会話が出来たりする」


何かを諦めた様に呟く姿は、子供のリドルには不似合い
なのに、こんな顔をあの孤児院で有った時もしていた事
を思い出し、はもっと笑顔が見たい。

そう思った。


「そうか、リドルは魔法使いの資質がすっごいあるんだ
ね、きっと」



はリドルを抱き寄せると思いっきり髪の毛を
かき回した。
それでもリドルは怒ることもせず固まっていて、
は少しやりすぎたかと慌ててリドルの顔を覗き込んだ。



「リドル?」


「何で・・・は気味悪くないのか?蛇と話すなん
て魔法使いは全員出来るのわけ?」

「私には蛇の声は聞こえない、けど怖くないよ?」

本当にそう思っている。
むしろ自分も話せるなら話したいぐらいだ。




「・・・ふーん」


そっぽを向いて興味なさげに呟くリドル。
それでもは話を続ける。
きっとこれには反応するはずだ。



「それにね、魔法界のある一族の人は蛇と話せる人が
いたりしたんだって」


「それって、誰?」


不貞腐れたように顔を背けていたリドルが勢い良く振り
返った。
はふーっと息をつき、もう一度向き合った。


「サラザール・スリザリン、あなたのご先祖様よ」



「じゃあ・・・・・・僕一人だけが喋れるんじゃないんだ」


「そう!それにリドルしか蛇と喋れなかったとしても、
私は怖く無かったよ。だって動物と話せるなんて、素敵
でしょ?」

やっとリドルは肩力を抜いたようだ。
もしかしたらの能天気な発言に毒気を抜かれ
たのかもしれない。





は面白いね、魔法使いはみんなこうなのか
な? 孤児院のみんなは不気味がったり怖がったりで、
素敵なんて思いもしてなかったと思うよ?」


自嘲気味に話すリドルには悲しくて零れそう
になった涙を引っ込める。
リドルは泣いてないのに自分が泣くなんて、何だか
変な気がしたから根性で涙には引っ込んでもらった。

再びは思いっきりリドルを抱きしめる。


「世界は広いんだから、孤児院にいた子なんてほんの
数人よ?現に私蛇と話せたらすっごく嬉しいもの」



「・・・・・・きっと世界規模でもは変わり者だよ」


リドルは出会った中の一番の笑顔で笑うと、きゅっと
を抱きしめ返した。
やっと、外の鳥の声、風邪の音が耳の中に戻ってきた気がした。









++++


ガシャン
不穏な音がシーンとした廊下に響き渡った。

2人が笑いあっていた時と同時刻の事だ。

それを影から見ていたリオが感激して持っていたティ
ーセットを落としたのだ。
ショックで涙の海に倒れこんでいるリオ・・・。
それを2人が見つけるのはもう少し後の話だ。







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