Across space-time and 08.2
不機嫌そうに歪められたリドルの顔を、テーブル越しに
眺め、は手元の紅茶をすすって笑みを誤魔化
した。
「全然隠れてないからソレ」
それも簡単に見破られ、肩を竦めると顔を上げる。
ほわほわと漂ってくるキッチンからの良い香りが鼻先を
掠めていく。
「だって、さっきの事は不可抗力でしょ?」
そりゃあ私も悪かったけど。
シュンとして誤れば、向かい側から子供らしからぬ大き
な溜め息が振ってきた。
「朝のあれ、もう少し成長したら確実にセクハラだよ?」
呆れた様な、何かが可笑しそうな、そんな眼差しに何だ
か萎縮してしまう。
「うぅ、ごめん」
「別に・・・そこまで気にしなくても良いけど、次からはちゃんとノックしなよ」
ふぅ、っと息をついて紅茶を飲んでいる様子は、確実
により大人な雰囲気だ。
朝、は勢いのままリドルの部屋に突入し、リ
ドルを探して部屋のクローゼットの方へと目を向けた
のだ。
其処には・・・。
着替え途中のリドルが居たと言う訳である。
しかし、それだけで男の子が怒るのか。
答えは否。
それを見た。
と言うより、着替え途中の様子はアウトオブ眼中で、寝
癖とまだ起きたばかりのリドルの可愛さに暴走した
の、抱きつき魔的行動に怒っているのだ。
抱きついた挙句に、頭を撫でられ、可愛いとの発言は
嫌だったらしい。
これにリドルは機嫌を急降下させ、さながら着替えを
見られた婦女子の様に怒っているのだ。
「ごめん、次からは気を付けるね」
「わかれば良いんだよ、仮にも女子でしょ?」
「はい・・・」
昨日の今日で随分打ち解けた物だ。
そう考えると、今朝の出来事にも感謝せずには居られな
いだった。
++++++
何とかリドルの機嫌も回復し、急いで朝食を済ました
2人は、暖炉の前に並んでお出かけ前の確認をしている
所だ。
「いい?はっきり発音して、ダイアゴン横丁よ」
「こそね」
「むっ・・・あと、迷子になったら漏れナベに集合」
「、逸れないでね?」
「むむむっ」
大人の貫禄という奴で流して聞いていただが、
得てして本当になりそうな事なので、少し剥れてしまう。
昨日今日で見破られる程、自分は子供っぽいのかと。
これでも、今日の朝までは結構大人な振る舞いと言うの
を出来ていた気がしていたのだが。
自分だけの空回りだったのか?
といった気分だった。
それも今日の朝の振る舞いでご破算な気がしないでも
ないが・・・。
「とにかく!! 出発よ!」
無理やり思考を切り上げ、腰に手を当てガッツポーズ。
暖炉の上のフルーパウダーを暖炉へと投げ込んだ。
炎が橙から青の様な緑の様な色へと変化するのを確認し、
先にリドルを暖炉へと入れる。
「良い?ダイアゴン横丁だからね」
「何度も言わなくても分かるよ・・・ダイアゴン横丁!」
難なく言い終えたリドルは、スッと暖炉から消えていく。
それを確認したは、自分も暖炉へ入り目的地
を告げる。
「スゥーハァースゥーハァー・・・・・・ダイアゴン横丁!」
大きな声ではっきりと、満面の笑みを浮かべた。
此れをリドルが見たら、此れぐらいで喜べるなんてね、
なんてまた言われていたであろう。
が、なにはともあれは無事目的地へと出発した。