Across space-time and 09








無事言い終えた。

安堵の息をついたのも束の間、暖炉を高速で移動してい
く景色に慌てて体に力を入れ、暖炉から吐き出される時
のために受身体勢をとって準備した。



「ブベェ!!」


しかし、暖炉からつっこけ出て、強かに膝と手を打ちつ
けてまう。


「……大丈夫?」


「大丈夫…」


慌てて駆け寄ってきたリドルに、苦笑を向け立ち上がり、
気を取り直し辺りを見渡す。

どうやら此処が漏れナベみたいだ。


想像していた店内と似ている其処は、感動するに十分だ
った。



パタパタと埃を叩きながら、店内を眺めていた視線をリ
ドルに戻すと、はニヤリと笑んだ。



「まずは、日用品を買って…その後はアイスね…それに
−−−−取り合えず出発しよう!」



ね、とリドルを見れば好きにしてと返され、少しテンシ
ョンを落としつつも2人は漏れナベを出発したのだった。






++++++


まず始めにした事は、屋敷に在ったお金の確認と、庭で
取った売れそうな薬草を売ることだった。

適当に近くに在った店へと向かい、見せてみると思っ
ていた以上の値で売れ、ホクホク気分でリドルの手を
引き日用品店を探し歩いて行く。


その間にも、はじめてきたダイアゴン横丁はかなり魅力
的で、ついつい寄り道して店を眺めてしまい、本屋の前
では2人して長居してしまった。




ようやく日用品店を見つけた頃には、2人の手には確り
と本が入った紙袋がぶら下がっていたのは、言うまでも
無い。


やっとついた日用品店。

は次々に買い物カゴへ必要な物を投げ入れていく。


「ねぇ、…こんなに買うの?」

「ええ、もちろん」


リドルは、の持つカゴの中の日用品の山を見て、
大きな溜め息を吐いた。


の持つカゴの中にはハブラシからタオルマグ
カップに様々な物が詰め込まれ、今から清算をする所
だった。

「送ってもらえば?」

荷物を見てリドルが呟いた。


「…成る程、漏れナベに一回置いて来ようと思っていた
けど、その手が在ったか!」

今気がついた。






満面の笑みを浮かべると、は早速店員に掛け
合い、何とか送ってもらえる事になり。
ちゃっかり本も送ってもらう。



やっと買い物を終えて、次は衣料品をと店の外に出る
と辺りを見渡した。

キョロキョロと辺りを見渡せば、早速看板が目に入る。



は再びリドルの手を引くと、その衣類の店へ
と早足で向かって行った。




++++++



の中では次に向かう衣類店はかなり重要だった。
リドルに着せる服を選ぶのがかなり楽しみだったのだ。





一直線に子供服売り場に向かい、パジャマやら私服やら
をリドルに合わせては、好みを聞いてカゴへ入れたり
棚に戻したりしていく。


最初は付き合ってくれていたリドルも、最後の方には
もう何でも良い!と言ってそっぽを向いてしまった。

それを聞いてカゴを見れば……。

衣類の山山山。


此処まで洋服選びに付き合ってくれたのが奇跡に近い勢
いだ。


さすがに自分でも多すぎたかも…と、乾いた笑いを浮か
べてリドルを見れば、呆れたように首を左右に振られて
しまう。



「アハハ……ごめんごめん」


「まったく…」




最終的に買い物カゴ3つにもなった其れと、自分の服を
素早く選び、其れも配達してもらう事にして、手ぶらに
なると、再びでダイアゴン横丁へと繰り出していった。


まだまだ、ダイアゴン横丁探検は始まったばかりである。







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